コロンビアのコーヒー産地の特徴、珈琲三角地帯など生産地域を解説

コロンビアの生産地アイキャッチ

コロンビアのコーヒー栽培は生産地域が明確に定義されています。

生産地域は行政区分ではなく地理的に区分されており、区分により特徴が際立つものが多い。

目次

コロンビアの産地の特徴

コロンビアコーヒーの標高別特徴

コロンビアはコーヒーで有名なだけあり、多くの生産地域があります。

中でも有名なのはコーヒー三角地帯とも呼ばれる3つの地域です。

コロンビア コーヒー三角地帯

コーヒー三角地帯とはコロンビアの数多い生産地の中でも特に大きいこれら3地域です。

  • キンディオ
  • リサルダ
  • カルダス

コーヒー三角地帯だけでコロンビア全体のコーヒー産地量の大部分を占めています。

また、コーヒー三角地帯はコーヒートライアングルとも呼ばれ、コーヒー産地の文化的景観として2011年に世界文化遺産に登録されました。

昔からコロンビアではこの3つの地域が最も高品質なコーヒー産地とされていたが、近年ではその他の地域の品質も高まってきており、他の地域のコーヒーの人気も高まってきている。

キンディオ

キンディオ生産地

コロンビアの中西部に位置する地域でアンデス山脈が横切っているコロンビアの土地面積ワースト2位という小さな地域。

キンディオのコーヒーの歴史

コーヒー需要の増加によりコーヒー栽培が盛んになり、キンディオは急速に発展していった。

特にキンディオの中心地であるアルメニアは大きく栄え、商業地としてだけではなく観光地としても成長。

気候は温厚で過ごしやすい地域ではあるものの、気候変動の影響やコーヒーの木への病気の蔓延などがありリスクの低い柑橘類やマカダミアナッツの栽培に移行した農家も多くなった。

キンディオは観光にもおすすめ

コロンビアのカラフルな建物

現在、失業率の高いこの地域ではコーヒー産業が非常に重要で、コーヒーに関する観光にも力を入れています。

キンディオにはコーヒーのテーマパークや国立コーヒー公園がありコーヒー好きの観光地としては外せないスポットとなっており、毎年6月末にはコーヒーパーティーも開催される。

キンディオのコーヒー概要

  • 標高:1400m〜2000m
  • 収穫時期:9〜12月(メインクロップ)4〜5月(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

リサラルダ

リサラルダ風景イメージ

コーヒー三角地帯の一角、リサラルダも有名なコーヒーの産地です。

リサラルダでは多くの農家が農業協同組合に属しているため様々な認証団体から注目されている。

この地域は多くのコーヒー関連雇用が生まれているコロンビア経済の重要地域である。

1920年代に多くの人がコーヒー栽培目的で移住してきたが2000年ごろの世界恐慌により大量の人々が職を失い再び別の地域に移住して人離れが起こった。

コーヒー・ハイウェイ

リサラルダの県都ペレイラはカルダスやキンディオへの交通拠点となっており、これらの道路網はコーヒー・ハイウェイと呼ばれている

リサラルダのコーヒー概要

  • 標高:1300mm〜1650m
  • 収穫時期:9〜12月(メインクロップ)4〜5(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

カルダス

カルダスの風景

記事冒頭でも述べましたが『カルダス』『キンディオ』『リサルダ』の3地域合わせてコーヒー三角地帯と呼ばれるコロンビアの一大産地となっています。

このカルダスもコーヒー三角地帯のひとつ。

コーヒー三角地帯が世界遺産に認定されたのは単純にコーヒーだけが理由ではなく、カルダス地域に建てられているスペイン建築風の建物群も評価されているんです。

コロンビアの伝統的な建物

美しい彫刻がされた日本建築にも通じる建物も数多く存在し、観光地としても見どころが多いのが特徴。

セニカフェ

カルダスはFNCが運営するセニカフェという国立コーヒー研究センターの本拠地があります。

セニカフェはコーヒーに関するあらゆるものを研究する機関で、世界でもトップクラスのコーヒー研究機関となっています。

病害に強いと言われるコーヒー品種を生み出したのもセニカフェなんです。

セニカフェ開発の耐病コーヒー品種

  • コロンビア種
  • カスティージョ種

カルダスのコーヒー概要

カルダスのコーヒーは酸味のあるフルーティー感が特徴

  • 標高:1200m〜1800m
  • 収穫時期:9月〜12月(メインクロップ)4月〜5月(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

カウカ

コーヒー栽培

カウカには多くの生産地域があるが、インザ地区とポパヤン地区で栽培されるコーヒーが最も有名です。

ポパヤン高原はコーヒー栽培に恵まれた環境

  • 標高が高い
  • 赤道が近い
  • 火山性土上に恵まれている
  • 気候変動が少ない(年に1度の雨季10〜12月)
  • 周囲の山々が太平洋の湿気や貿易風を防いでくれる

ポパヤン高原は標高が高く赤道に近く多くの栽培条件に恵まれているコーヒーに最適とも言える環境です。

  • 標高:1700~2100m
  • 収穫時期:3~6月(メインクロップ)11〜12月(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

カウカコーヒーの特徴

バジェ・デル・カウカ

カウカ川が2つの大きな山脈の間を流れるバジェ・デル・カウカ(カウカ谷)はコロンビア国内で最も肥沃な土地の一つ。
バジェ・デル・カウカはかつてのコロンビア内線の中心地でもあった場所でもあります。

小規模農家がメイン

コーヒー農家の栽培地規模平均は2.9ヘクタールと小規模。

バジェ・デル・カウカのコーヒー農家はコロンビアとしては典型的な農業体系で、75,800ヘクタールのコーヒー栽培地は26,000の農家の農園でわけられ23,000世帯の農家所有となっています。

バジェ・デル・カウカ概要

  • 標高:1450~2000m
  • 収穫時期9~12月(メインクロップ)3~6(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

トリマ

トリマは反乱軍コロンビア革命軍FARCの最後の砦の一つで、FARCは最近までこの地域の支配権を維持していました。

近年までトリマは争いが続いており、トリマへはなかなか近づくことができない状況が続いたためコーヒーの栽培は非常に困難な状況にありましたが、現在では小ロットながらも質の高いコーヒー豆が小規模農家によって栽培されています。

2017年からは原産地呼称制度によりトリマ産という地域ブランドで管理・保護されて販売されている。

FARCの歴史

  • 1964年:共産党の武装組織として発足
  • 2002年:最盛期、戦闘員2万人を有しコロンビアの1/3を支配
  • 2008年:大きな敗北が続く
  • 2012年:ハバナで和平交渉
  • 2016年:停戦発表

トリマ コーヒーの特徴

トリマ地域の農園からCOE(カップオブエクセレンス コロンビア)で優勝者が出るほどになっています。

フルーティーで甘みのあるクリーンカップのコーヒーが多い印象です。

  • 標高:1200m〜1900m
  • 収穫時期:3月〜6月(メインクロップ)10〜12月(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

ウイラ

ウイラ マグダレナ側

ウイラは豊かな土壌に適した標高とコーヒー栽培に最適な地域とされています。

ウイラはコロンビアでも大きな生産地域でしたが、2010年以降のコーヒー先物価格の下落により多くの生産農家が経営破綻し、数を減らした。

それでも7万人を超すコーヒー生産者がおり、ウイラでは1万6000ヘクタール以上の土地でコーヒー栽培が行われている。

高品質なコーヒー豆も生産されており、香り豊かでコクのある豆が多いのが特徴。

ウイラ概要

  • 標高:1250m〜2000m
  • 収穫時期:9月〜12月(メインクロップ)4月〜5月(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

ナリーニョ

ナリーニョ地域で栽培されるコーヒーの品質は非常に高いです。

赤道に近いため気候がコーヒー栽培に適しており、病気にかかりやすいといわれる高知でも良い豆を生産することが可能。

ナリーニョは小規模農家

ナリーニョは小規模農家が多く、各農家の平均農地面積は1ヘクタール以下で、5ヘクタール以上所有している農家は40人にも満たない。

ナリーニョでは4万人以上いる生産者の大部分が小規模農家のため、グループや団体としてFNCと連携しつつ助け合い運営している。

ナリーニョ コーヒー概要

  • 標高:1500m〜2300m
  • 収穫時期:4月〜6月

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

アンティオキア

アンティオキア風景

アンティオキアはコロンビアのコーヒーとFNC発祥の地です。

そのためコロンビアのコーヒー産業としても歴史的にも重要な地域となっており、大規模農園から小規模農家まで幅広くコーヒー栽培が行われている。

約128,000ヘクタールものコーヒー栽培地を有する

アンティオキア コーヒー概要

数多く農家が生産しておりいろいろなコーヒー豆が生産されているが、味がはっきりとしたコクのあるものが多い。

  • 標高:1300m〜2200m
  • 収穫時期:9月〜12月(メインクロップ)4月〜5月(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

クンディナマルカ

クンディマルカ風景

クンディナマルカは、首都のボゴタを囲む県のひとつ。

ボゴタは世界で最も高い場所にある都市の一つであり海抜2625mと標高が非常に高い。

標高が高い地域では高山病の恐れがあり、これらの地域に行く場合には高山病対策が必須となる。

クンディナマルカ コーヒー概要

クンディナマルカは、コロンビアでは2番目に輸出用コーヒーを生産した地域です。

第二次世界大戦直前が生産のピークで、100万本以上のコーヒーの木を有する大規模農園があり、ピーク時は国内生産量の1割もの量をほこっていたがその後は生産量も徐々に落ちていくこととなった。

  • 標高:1400m〜1800m
  • 収穫時期:3月〜6月(メインクロップ)10月〜12月(ミタカクロップ)

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

サンタンデール

コロンビアではじめて輸出用のコーヒーを生産した地域の一つ。

他の地域より若干標高が低いため、熟して甘味のある味が多いのが特徴。

この地域のコーヒーの大部分はレインフォレスト・アライアンス認証を受けていて地域の種の多様性を重視しています。

レインフォレスト・アライアンス認証とは

レインフォレスト認証とはカエルのマークの付いたコーヒーの事を指します。

レインフォレスト・アライアンス認証マーク

このカエルのマーク、見たことありませんか?

このカエルは環境条件を知るための指標種とされる生物とされ、レインフォレスト・アライアンス認証はしっかりとした監査を受け、環境・社会・経済面のサステナビリティを義務付けた基準に準拠していると判断されたものを指します。

参考:レインフォレスト・アライアンス認証

サンタンデール コーヒー概要

古くからコーヒーを生産してきた地域で、研究開発にも積極的に投資しサビ病を克服した地域としても有名。

  • 標高:1200m〜1700m
  • 収穫時期:9月〜12月

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

ノルテ・デ・サンタンデール

ノルテサンタンデール風景

国の北部に位置し、ベネズエラに接しているノルテ・デ・サンタンデール。

コーヒー生産の歴史は古く、コロンビア最初のコーヒー栽培地の可能性も高いとされている。

  • 標高:1300~1800m
  • 収穫時期:9月〜12月

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

シエラネバダ

シエラネバダイメージ

シエラネバダはコロンビアの中では標高が低くい地域で、『山にかかる雪』という意味の地名です。

シエラネバダ地域ではコーヒーの木がアンデスの山々で栽培されるが、斜面の傾斜が50~80度と非常に急なため、栽培が困難。

シエラネバダ コーヒーの特徴

しっかりと熟している感じで華やかさよりもコクのあるコーヒーが多いのが特徴

  • 標高:900m〜1600m
  • 収穫時期:9月〜12月

生産品種

  • ティピカ
  • カトゥーラ
  • カスティージョ

コロンビアの生産地域まとめ

コロンビアにはコーヒー三角地帯を含め、多くの生産地域があります。

世界遺産認定されてからは観光業も盛んになり、美しい建物やキレイなコーヒープランテーションは見ものです。

コーヒー好きはぜひ行きたい国ですね!

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