コーヒーの3大原種 アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種について品種の違いや特徴を徹底解説

コーヒーの品種についてアイキャッチ

コーヒーチェリーが採れるコーヒーの木といえば、通常はアラビカ種の事を指し、世界中のコーヒーベルト(南回帰線と北回帰線の中にある地域)で栽培されている大半がこのアラビカ種。

アラビカ種に次いで生産量の多いロブスタ種の2種類で世界全体の99%を占めるほどになっています。

今回はコーヒー三大品種と言われるアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種について徹底解説します。

目次

アラビカ種とは

コーヒー品種ーアラビカ種とは

アラビカ種(Coffea arabica L)とは、世界で最も多く栽培されているコーヒーノキの事。

アラビカ種は品質がよく、味の多様性もあり収穫量が比較的安定しているため世界中で生産されるコーヒーの大部分を占めている。

コーヒーの種類は約130種にも及びますがアラビカ種が半数以上!

アラビカ種の起源について

アラビカコーヒーの起源は南スーダンとする説やエチオピアとする説がありますが、南スーダンからエチオピアに広がったという説が有力とされています。

ドリンクのコーヒーとして利用されているのは野生種ではなく栽培種ですが、エチオピアなど一部の地域では野生種を利用しているものもある。

参考:エチオピアの生産システム

アラビカ種の特徴とメリット・デメリット

アラビカ種が世界中で沢山栽培されているのは昔から続いてきたという理由もありますが、現在でも多く栽培されているのは『美味しいから』

アラビカ種のメリット

  • 亜種の種類が豊富
  • 味の多様性
  • 香り豊か
  • 風味豊か

アラビカ種の高品質な豆は本当に素晴らしい風味や味の多様さを持っています。

甘いフレーバーのものからコクが深くクリアな味のものまで非常に幅広いフレーバーが生み出されている。

アラビカ種のデメリット

  • 低標高での栽培は価値が下がる
  • 高温多湿に弱い
  • 霜害に弱い
  • 乾燥に弱い

高品質なコーヒーはアラビカ種ですが、育てるのが難しいというデメリットもあります。

低標高でも栽培できないということはないが、標高の高い高地で生産されたコーヒーは特徴が強くあらわれ、高品質な豆として扱われる。

コストはかかるけれど美味しいアラビカ種と、コストが安いロブスタ種というかたちで棲み分けされています。

アラビカ種 亜種の種類

アラビカ種亜種の種類

アラビカ種は多くの品種に分かれていった。

現在よくコーヒーとして出荷されている13品種をご紹介。

  • ティピカ
  • ブルボン
  • カトゥーラ
  • カトゥアイ
  • ムンドノーボ
  • アマレロ
  • ゲイシャ
  • マラゴジッペ
  • パーカス
  • ビジャ・サルチ
  • パカマラ
  • ケント
  • S795

ティピカ(Typica)

アラビカ種ティピカ

ティピカ種はアラビカ原種に一番近い品種で、最も古い栽培品種とされている。

ティピカの特徴

  • 酸味が強い
  • コクがある
  • 風味が良い
  • 細長い形
  • 生産量が少ない

コロンビアはアラビカ種のみの栽培を行う国で、最初はティピカ種のみでの栽培が行われていた。

病害や生産効率の悪さもあり、現在では品種改良されたカスティージョがコロンビアの多くの生産地域で栽培されている。

ティピカのその他の呼び名

ティピカはオランダ人が世界中に広めたとされており、世界中で生産されているため、多くの呼び名が存在する。

  • クリオロ
  • スマトラ
  • アラヒゴ

下記のその他のアラビカ系品種はすべてティピカの突然変異や交配によってできたものと考えられる。

ブルボン(Bourbon)

アラビカ種ブルボン

ブルボン種とはブルボン島でティピカの突然変異種として生まれた品種。

ティピカとともに最古の品種とされている。

ティピカと比較してたブルボンの特徴

  • 隔年収穫のため生産性が低い
  • 収穫量が20~30%多い
  • 香りやコクが強い
  • 特有の甘み
  • 小粒で丸みのある形

隔年収穫という事で生産性が低い。

香りやコクが強いという特徴もあり高値で取引されることも多いが生産性の低さが際立ち、多くの国は他の品種の栽培に切り替えていった。

カトゥーラ

カトゥーラ種とはブラジルで発見されたブルボンの突然変異の事。

樹高が高くならない矮性種のため剪定作業の手間もかからず、手積み収穫もしやすいコロンビアや中米で人気が高い品種です。

カトゥーラの特徴

  • 病害に強い
  • 酸味が豊か
  • 生産性が高い
  • 小粒サイズ

カトゥアイ(Catuai)

カトゥアイコーヒー

カトゥアイ種とはブラジルの試験機関IACにより開発された生産性の高い品種の事。

カトゥーラとムンド・ノーボの交配種で環境適応性が非常に高い。

カトゥアイの特徴

  • 霜害に強い
  • 病害に強い
  • 生産性が高い
  • 樹高が低くい

味はムンド・ノーボのほうが良いとされることが多いが、生産性が高く人気の品種

カトゥーラの樹高の低い矮性とムンド・ノーボの耐久性・生産性を併せ持つ。

ムンドノーボ

ムンドノーボ種とはティピカ種とブルボン種の自然交配によってブラジルで生まれた品種の事。

  • 病害に強い
  • 育成が遅い
  • 生産性が高い
  • 環境への適応性が高い
  • 標高が低くても栽培可能
  • 酸味がハッキリしている

病害に強く、標高1000~1200mでも育つため、ブラジルで多く栽培されている。

アマレロ

アマレロ種とは正式名称Amarelloが示すとおり黄色い果実のコーヒーチェリーがなる品種の事。

アマレロの特徴

  • 風味が豊か
  • 樹高が低い
  • 生産性が高い

SL28

SL28種とはケニアのスコット研究所SLが開発した品種の事。

タンザニア原産の品種で乾燥に強く豆のサイズも大きく生産性も高い。

SL28の特徴

  • 病害に弱い
  • 乾燥に強い
  • 標高が必要
  • 完熟実が赤い
  • 果実味がある
  • サイズが大きい

SL34

SL34種とはフレンチミッションと呼ばれるブルボンから選別された品種の事。

SL28と多くの点が共通している。

SL34の特徴

  • 病害に弱い
  • 乾燥に強い
  • 標高が必要
  • 完熟実が赤い
  • 果実味がある
  • 風味はSL28に劣る

ゲイシャ

高級品種とされるゲイシャ種はエチオピアのカファ地方のアビシニアの在来品種ととされています。

エチオピア西武にある町の名前にちなんだ名称『Geisha』『Gesha』からとられている。

ゲイシャの特徴

  • 花の香り
  • フルーツの香り
  • 香水のような香り
  • 価格が非常に高価

2004年にパナマのエスメラルダ農園が出した事で急激に人気が出た品種である。

圧倒的に香りが豊かで品評会のオークションでは通常のコーヒーの約100倍の価格の価格で取引された。

マラゴジッペ(エレファント)

マラゴジッペ種とはブラジルで発見されたティピカの突然変異種の事で、エレファントビーンとも呼ばれる。

生産性は高くはないが、豆が大粒なため人気や評価が高い。

マラゴジッペの特徴

  • 珈琲豆が大粒
  • 完熟実は赤い
  • 葉が非常に大きい

パーカス

パーカス種とはブルボンの突然変異種の事で、エルサルバドルのパーカス家によって発見されたためパーカスと名付けられた。

パーカスの特徴

  • 樹高が低い
  • 生産性が高い
  • ブルボンに似た風味

ビジャ・サルチ

ビジャ・サルチ種とは突然変異種の事で、コスタリカのサルチで発見されたためサルチと名付けられた。

上記のパーカス種と同様にブルボンの突然変異種のため、矮性を持ち樹高が低くなっている。

ビジャ・サルチの特徴

  • 樹高が低い
  • 風味が良い
  • 生産性が高い

パカマラ

パカマラ種はエルサルバドルで開発されたパーカスとマラゴジッペの交配種の事。

マラゴジッペの特徴である葉、果実、豆が非常に大きい。

特徴のある独特な風味と味が人気。

  • 豆が大粒
  • 果実が赤い
  • フルーティーな味
  • チョコレートのような味

ケント

ケント種はインドのケント農園にて品種改良によってサビ病への耐性を強化した品種として開発された。

サビ病以外の病気で枯れることもある。

S795

S795種は同じくインドで開発された品種で、上記のケントと同じくサビ病に強いS288との交配種。

主にインドとインドネシアで広く栽培されている。

ロブスタ種とは

canephoraーロブスタ種

ロブスタ種とはコーヒーの種類を特徴づけるために使われているブランド名の事で正式な学名はカネフォラ種(Coffea canephora)とされている。

正式名ではなくブランド名のロブスタ種(Coffea robusta)と呼ばれることが多い。

ロブスタ種の特徴とメリット

アラビカ種がメインとされてきたコーヒーの木ですが、アラビカ種ではなくロブスタ種を栽培するのには理由があります。

ロブスタ種の4つのメリット

ロブスタ種の大きなメリットは下記の4つです。

  • 標高が低くてもOK
  • 気温が高くてもOK
  • 病気にも強い
  • 低コスト

こうした環境に強いという特徴からロブスタ種が大量生産されることになりました。

ロブスタ種のデメリット

生産しやすく、メリットの多いロブスタ種ですがデメリットも存在します。

  • 酸味が弱い
  • コクと苦味が強い

高品質なロブスタ種で評価されているものも一部ありますが、大半のロブスタ種の味の評価は低いです。

コーヒーは嗜好品のため味という観点は非常に重要なポイント。

しかし価格が非常に安いため、大量生産品(主にインスタントコーヒー)で利用される事が多い。

アラビカ種とロブスタ種の遺伝的特徴の違い

ロブスタ種はアラビカ種から派生した劣化版として扱われていたが、時代が進み遺伝子情報を調べたところロブスタ種から派生したのがアラビカ種だと判明。

南スーダン共和国地域でロブスタ種がユーゲニオイデス種が交配し、アラビカ種が生まれエチオピアで繁殖したという説が有力。

ロブスタ種の歴史

ロブスタコーヒーの歴史

ロブスタ種が最初に発見されたのは19世紀後半にベルギー領であった現在のコンゴ民主共和国です。

ロブスタ種は標高が低くても気温が高くても栽培可能という大きなポテンシャルを秘めていたため注目が集まり、多くの国で低コスト栽培として利用されることになりました。

コーヒー文化の強いヨーロッパではエスプレッソに利用されることが多く、アラビカ種とブレンドして利用されることも増えていった。

インスタントコーヒーでロブスタ種の生産量が大幅UP

やはり低価格というメリットは圧倒的に強く、価格重視のインスタントコーヒー産業のために大規模栽培が始まりました。

インスタントコーヒーや安価コーヒーが世界中で販売されるようになり、ロブスタ種は世界の年間コーヒー生産量の2〜4割を占めるまでに至った。

コーヒー先物価格が上がるとロブスタ種が増える

コーヒー先物価格が大きく上昇すると巨大企業としてはアラビカ種の代わりにロブスタ種を利用せざるを得なくなる場合があります。

しかし、価格重視にしてロブスタ種を利用したことでコーヒー消費量や売上が落ちたというデータもあり、嗜好品のコーヒーでは味の妥協は致命傷になることもあり、単純にロブスタ種にすれば利益が伸びるという問題でもない。

リベリカ種とは

リベリカ種について

最後に、三大原種の1つであるリベリカ種について説明します。

リベリカ種とはリベリア原産であるリベリカコーヒーノキ(Coffea liberica)の事で、西アフリカのリベリアから名付けられている。

三大原種とはいえアラビカ種とロブスタ種だけで99%を占めているため、実質2大原種のような状態あり、リベリカ種が利用されていることは非常に少ない。

リベリカ種の特徴

リベリア種は環境条件に厳しくないため、多くの地域で生産することが可能です。

しかし、サビ病を始めとした病害に弱く、コーヒーチェリーが完熟するまでに時間がかかるため生産性は低い。

また、アラビカ種に劣る点が多いため、高級豆としては販売しにくく、生産されることは少なく需要も供給も低くなっている。

  • アラビカ種のほうが美味しい
  • 特別標高が高い必要はない
  • 気温や湿度条件も通常程度
  • 完熟までに時間がかかる
  • サイズにばらつきがある
  • 果実は赤や黄色
  • サビ病に弱い
  • 樹高が高い

低地でも栽培可能なため、フィリピンやマレーシアで栽培されている事が多い。

コーヒーの種類まとめ

コーヒーの品種まとめ

コーヒー三大原種について解説しました。

  • アラビカ種について
  • ロブスタ種について
  • リベリカ種について

普段、カフェなどでレギュラーコーヒーとして飲むものはアラビカ種が大半で、インスタントコーヒーなど安価なものはアラビカ種とロブスタ種のブレンドだったりします。

リベリカ種は基本的に美味しいわけでもないのでわざわざ輸入は行いません。ほぼ出回っていないため、飲んだことがある人は非常に少ないのじゃないでしょうか。機会があったらアラビカ種と味を比較してみるのも面白いかもしれませんよ。

アラビカ種は品種が豊富で様々なフレーバーを楽しむことができます。美味しいコーヒー豆を求める場合はスペシャルティーコーヒーのアラビカ種を選びましょう。

コーヒーの美味しさを決めるために必要なもの

コーヒーの美味しさを決めるために重要となる要素は多いですが、中でも大きなのが今回紹介したコーヒー種と「精製方法」と「焙煎方法

美味しいアラビカ種の豆でもナチュラル製法とウォッシュト製法でも味は異なります。

また、焙煎方法も浅煎りと深煎りでは味が大きく異なります。

コーヒーを選ぶ際は種類だけじゃなく他の処理工程も意識してコーヒーを飲んでみてくださいね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次