コーヒー先物取引について 取引単位やサイズについて、NY取引所や先物価格の解説

コーヒー先物取引について

コーヒーは水を除けば世界でもっとも多く飲まれている飲み物であり、大量に消費されるコモディティコーヒーはニューヨーク取引所とロンドン取引所にて活発に売買されています。

70カ国以上の国で生産されているコーヒーはどのように価格が決定されているのか、世界のコーヒー価格の基準となるコーヒー先物取引について詳しく解説。

目次

コーヒー先物商品の主要取引所はNYとロンドン

NY商品取引所

コーヒー先物はNYとLONDONの2つを主要取引所として売買が行われています。

ニューヨークとロンドンの取引所の特徴

コーヒー先物商品取引所は場所ごとに特徴があります。

  • ニューヨーク商品取引所(NYBOT):アラビカ種
  • ロンドン国際金融先物取引所(LIFFE):ロブスタ種

このようにハッキリと取り扱う品目が異なっています。

アラビカ種は主に中南米、ロブスタ種は主に南米、アジア、アフリカで生産されています。

東京穀物商品取引所は解散

日本もかつて東京穀物商品取引所でコーヒー取引を行っており、唯一アラビカ種とロブスタ種を扱っていましたが取引高不振などにより、2013年2月に解散

解散に伴い多くの銘柄、建玉は大阪堂島商品取引所東京商品取引所に移管されたが、コーヒー取引は廃止となった。

銘柄移管先 取引所
一般大豆東京商品取引所
小豆
とうもろこし
粗糖
大阪堂島商品取引所
コーヒー取引終了

ICOによるコーヒー4種別グループ

ICOによる取引4グループ

先物取引に際し、ICOは下記の4種類にコーヒーをグループ分けをしている。

上から順に取引価格が高くなっています。

  1. コロンビア・マイルド
  2. アザー・マイルド
  3. ブラジル&アザー・アラビカ
  4. ロブスタ

それぞれの特徴を順番に解説していきます。

コロンビア・マイルドとは

コロンビアマイルドとは

コロンビアマイルドとは下記3つに当てはまるコーヒーを指し、この4つのグループの中では最も取引金額が大きい。

アザー・マイルドとは

アザー・マイルド(ウォッシュド処理)

アザー・マイルドはコロンビアマイルド3カ国以外の「アラビカ種のウォッシュト処理」のコーヒー豆を指します。

後述するアザー・アラビカやロブスタより高品質な豆として取引されます。

ブラジル&アザー・アラビカ(アンウォッシュドアラビカ)とは

天日干しにてコーヒー豆を乾燥させている

アザーアラビカとは乾燥式と呼ばれるナチュラル製法を利用したもの。

ナチュラル式は上記の2グループで利用されているウォッシュト精製に比べ価格が安い傾向にあります。

なぜウォッシュト(マイルド)が高価格になるかというとコストがかかるためです。

ウォッシュト処理に関してはウォッシュトの精製方法に記載してありますので合わせてご覧ください。

ロブスタ

コーヒー先物 ロブスタ種

最後はアラビカ種以外のロブスタ種です。

ロンドンで取引されるロブスタ種は主に下記の国で生産されています。

  • タイ
  • インド
  • コンゴ
  • ベトナム
  • ウガンダ
  • カメルーン
  • マダガスカル
  • インドネシア
  • アイボリーコースト

ロブスタ種は苦味があり、味が劣るためインスタントコーヒーやエスプレッソのブレンドなど、廉価な豆として利用されている。

詳しくはコーヒーの品種についてをご覧ください。

コーヒー豆の取引価格と取引単位

コーヒー先物価格の単位

コーヒーの価格は米ドル価格で、1ポンド単位で値付けされている。

1ポンド=453.592g

先物価格チャートではUSD(セント) / ポンドで表される。

Cプライスとは

Cプライスとはアメリカ ニューヨーク証券取引所で取引される価格のことで、世界共通のコーヒー価格の指標とされる。

NY取引所で取引されるコーヒー豆の割合は世界全体のコーヒー取引量からしたらわずかだが、Cプライスは世界で取引される際にも重要視される。

基本的にCプライスを最低金額とし品質に応じたプレミア価格を上乗せした金額で取引される。

コーヒー取引の袋サイズ

コーヒーの取引に利用される袋のサイズは様々で、国によっても異なる。

  • アフリカ、インドネシア、ブラジルでは1袋132ポンド(60キログラム)
  • 中米では1袋152ポンド(69キログラム)

1袋単位で取引されるが、大規模取引ではコンテナなどが利用される。

詳しくはコーヒーの輸出についてをご覧ください。

コーヒー先物価格によって安定しないコーヒー産業

コーヒー産業の不安定さ

コーヒー栽培を行う農家では、ニューヨーク市場にて価格が決定されるCプライスに振り回され、生活が安定しなくなるという自体が発生しています。

コーヒー価格の流動化が原因で収入が半減するということが実際に起きています。

ヘッジファンドによる投機要素が絡む

基本的には価格は需要と供給により決定されますが、先物取引の性質上、利益目的の売買が行われます。

そのため、極端な価格の暴騰・急落といった自体が起き、農家の生活が成り立たなってしまうんですね。

コーヒー価格の暴騰と暴落

コーヒー先物 年間チャート推移

コーヒー先物価格は2011年に高値(3ドル)をつけた後に急落し、3分の1の価格まで落ち込むこととなりました。

その後は乱高下を繰り返し、2020年現在1ポンド1ドル近辺で推移。

2019年の1ポンド=80セント台では多くの農家が経営破綻に追い込まれました。

Cプライスは生産コスト無視

2019年の安値で生産を断念した農家も多いです。

ニューヨーク市場で決定されるコーヒー先物価格はコーヒー生産に関わるあらゆるコストを無視しているため生産が成り立たなくなるためです。

どう生産しても赤字になるとなれば事業をやめたほうがよいとなるのは自然の流れです。

先物取引が行われるのはコモディティコーヒーだけ

コモディティコーヒーとスペシャリティコーヒー

先物取引が行われるのは一般的なコーヒーであるコモディティコーヒーです。

高品質なスペシャルティコーヒーフェアトレードコーヒーはこれらの対象となりません。

先物取引の対象とならない高品質なコーヒーには下記のようなものがあります。

スペシャルティコーヒーとは

スペシャルティーコーヒーはどこの産地でどのように生産されたかという記録がしっかりと残されたトレーサビリティのついた高品質なコーヒーの事で、先物価格には左右されません。

焙煎業者が農家と直接取り引きを行い生産者から直接買い付けを行っているものも多い。

オークションコーヒーとは

またCOE(カップオブエクセレンス)などのコーヒー品評会の入賞ロットなどはオークションにかけられ各業者が入札を行う形で買付が行われる。

各生産国で品評会が行われ、審査員によってテイスティングされ評価されたコーヒーが出品されるため優勝したコーヒーなどには非常に高価な値がつけられることになる。

これらのコーヒーもトレーサビリティもハッキリしており、品質も高いためスペシャルティコーヒーとされる。

フェアトレードコーヒーとは

フェアトレードとはコーヒー産業の発展を目的とし、適正な価格設定や直接取引により農家の発展を支えるというもの。

フェアトレードは生産者組合向けで、個人農家には適用されませんが、小規模農家が組合という形で発言力を得ることが可能になります。

フェアトレードはスペシャルティコーヒーと違い、かならずしも品質に基づくものではありませんが基準が定められています。

  • フェアトレード最低価格の保証
  • フェアトレード・プレミアムの支払い

最低価格を保障し、市場価格がフェアトレードの基準価格を上回った場合Cプライスに1ポンド辺り0.05ドルを上乗せする。

コーヒーの貿易高は世界2位ではない

コーヒーの取引高は世界2位?

コーヒーは石油に次ぐ世界2位の取引高のある商品とされる事が多いが、現在では価格の下落や取引高の減少もあり、天然ガスなどその他の商品のほうが高く、コーヒー取引は頻度・金額ともに5位以下となっている。

とはいえコーヒーは世界中で1日に20億杯以上飲まれている国際的に重要な貿易商品なのは変わりません。

コーヒー生産農家の経営破綻は度々問題となる。また中間業者による搾取なども問題視されており、コモディティコーヒーを生産する農家は厳しい状況が続いている。


いつも飲んでいるコーヒーの価格はNY市場で決定されていたんですね。

コーヒー農家を支援するという意味でも直接取引やフェアトレードが増えていってほしいと思います。

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