グァテマラは他のコーヒー生産国と比較して生産地域が明確に定められ、地域ごとの特徴を強調しているため、生産地域としてのブランドも世界的に有名になっています。
そんなグアテマラの生産地域ごとの特徴をご紹介しますね。
サン・マルコス
サン・マルコスはグアテマラのコーヒー生産地で最も温暖かつ雨の多い地域で太平洋側の山の斜面には早くから雨が降るため、開花時期が他の地域より早くなっています。
雨が多いという地域柄、収穫後の乾燥に支障をきたすことが多く天日乾燥と機械乾燥の併用も。
農業が経済を大きく支えているこの地域はコーヒー以外にも『穀物』『果物』『食肉』『羊毛』等も生産しています。
- 標高:1300~1800m
- 収穫時期:12~3月
- 品種:ブルボン、カトゥーラ、カトゥアイ
アカテナンゴ
アカテナンゴ火山のある渓谷がコーヒー生産の中心地となっている。
火山灰により作られた土壌にはミネラル成分が含まれています。
アカテナンゴでは生産者の多くがコヨーテと呼ばれる仲買人に収穫したコーヒーチェリーを売り、アンティグアで精製をしていた。
アカテナンゴと比較し、アンティグアはコーヒー産地としての知名度が高く、アンティグア産とすることで価格が高くなるためである。
しかし現在ではアカテナンゴ産の品質が評価され、有名になった事でこの方法は利用されなくなってきている。
アカテナンゴ農家で生産した記録を記載し、トレーサビリティを確保したコーヒー豆として販売されています。
- 標高:1300〜2000m
- 収穫時期:12〜3月
- 品種:ブルボン、カトゥーラ、カトゥアイ
アティトラン
アティトラン地域のコーヒー農園はアティトラン湖の周囲にあります。
アティトラン地域のコーヒー生産はコスト高騰もあり、郊外への人口流出問題もあり、コーヒーの栽培を続けるより土地を売って利益を出したほうが良いと判断する生産者もいて、今後の生産も危ぶまれている。
- 標高1500〜1700m
- 収穫時期12月〜3月
- 品種:ブルボン、ティピカ、カトゥーラ、カトゥアイ
コバン
コバンの街をコーヒーにより発展・繁栄させたのはドイツ人と言われています。
ドイツ フェロパスコ社
ドイツ人の経営するフェロパスコ社が行ったコーヒー発展の規模は非常に大きいです。
- コーヒー生産を拡大
- 東西横断鉄道の建設
- リビングストンまでの蒸気船運行
フェロパスコ社はなんとベラパス州を東西に横断する鉄道を建設し蒸気船も運行させました。
コーヒー・カカオ・木材といった食材・木材を鉄道でポロチク川畔まで運び、水路でリビングストンの港まで輸送するという方法でコバンは一躍コーヒー生産の中心地となり、ドイツ人の影響力の強かった盈虚もありドイツのハイデルベルクよりもドイツらしい町に変化。
インフラ整備やコーヒー産業の発展の恩恵を受け19世紀初頭から半ば頃までは膨大な資産と権力を保持していましたが第二次世界大戦で状況は一変。
ホルヘ・ウビコ大統領ドイツやイタリアのファシズムに近い立場をとっていたが第二次世界大戦では連合国側についたため、アメリカの圧力によりドイツ人は追放されることとなってしまいました。
コバン地域はコーヒー生産が難しい?
コバンのコーヒー栽培に向かない条件
- 盆地
- カリブ海からイサバル湖を越えてくる湿気
- 年中、霧と小雨が多い
- 郊外にあるため輸送コストが高い
熱帯雨林環境のため雨量が非常に多く、乾燥が必要となるコーヒー生産の難易度を上げています。
更にコバンは主要都市からみて郊外にあるため輸送コストが高く付くというコーヒー栽培農家にとって厳しい条件。
品質の高いコバンのコーヒー
しかしコバンのコーヒーはとても素晴らしいものが多く、世界でも評価されています。
ダークチョコレートのような風味やしっかりとしたコクのあるクリアなコーヒーが多い印象。
- 標高:1300〜1500m
- 品種:ブルボン、カトゥアイ、カトゥーラ、マラゴジッペ、パチェ
- 収穫時期:1〜4月
ヌエボ・オリエンテ
ヌエボ・オリランテは『新しい東』という意味の地域でグアテマラ東に位置しています。
グアテマラの中では乾燥した地域であり、小規模農家のコーヒー栽培が盛んな地域。
歴史は浅く1950年ごろからコーヒー生産がはじまりました。
- 標高1300~1700m
- 品種:ブルボン、カトゥアイ、カトゥーラ、パチェ
- 収穫時期12〜3月
フライハーネス
首都グアテマラシティーを囲むように位置するコーヒー生産地。
フライハーネスでは火山活動が活発で、噴火が規則的に起こるため、土壌が豊かになります。
しかし当然ながら危険も多くつきまとい、インフラへのダメージも深刻ということもありグアテマラシティーの都市開発が進むにつれコーヒー生産は縮小しています。
- 標高:1400 ~1800m
- 品種:ブルボン、カトゥーラ、カトゥアイ、パチェ
- 収穫時期:12月〜2月
アンティグア
グアテマラの中でも有名な生産地の一つであるアンティグア
都市アンティグアにはユネスコ世界遺産に登録されているグアテマラ3番目の首都だった場所。
1543年にスペイン人によって建設され首都として200年続いたが1717年の大地震で街が崩壊、その後再び1773年の地震があり、首都が移転されることになった。
アンティグアの偽装表示
アンティグア産のコーヒーは高品質で世界的にも人気だったが、他の生産地で作られたコーヒーにもアンティグア産と偽装表示し販売していたこともあり、アンティグアのブランドイメージが落ちるという事もありました。
その後、2000年からは本物のアンティグアコーヒーに対して原産地統制呼称を開始し他の産地のコーヒーをアンティグア産と偽るのが困難になりました。
しかし、アンティグアにコーヒーチェリーをそのまま持ち込みアンティグアで精製するという不正行為が跡を絶たず、APCA認証のある農家であっても、本当にアンティグア産か疑わしいものも多々ある。
コーヒーチェリーの採れた農家まで特定できるトレーサビリティのついたアンティグア産コーヒーの品質は素晴らしいが価格は非常に高価になっている。
グアテマラの産地まとめ
グアテマラの主要産地をご紹介しました。
どの地域でも素晴らしいコーヒー豆を生産しているので地域ごとの豆を購入して飲み比べてみるのも良いですよ。
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